ZEH住宅なのに寒い!?ZEH水準では断熱等級5しかないので当たり前です
「ここ、ZEH住宅なのに寒くない!?」
大手のハウスメーカーでZEH住宅の家を建てたにも関わらず、そう思われる方は少なくないようです。
ZEH住宅なのに寒い!?ZEH水準では断熱等級5しかないので当たり前です
大手のハウスメーカーは、「ZEH」(ゼッチ)を売り文句にして住宅の販売を行っています。
ZEHについては、いろいろな所で説明を聞くかと思いますが、今一度わかりやすく説明させていただきます。
ZEHとはNet Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語です。
ZEH住宅は、太陽光発電による電力創出・省エネルギー設備の導入・外皮の高断熱利用などにより、生活で消費するエネルギーよりも生み出す1次エネルギーが上回る住宅を指します。
要するに、
太陽光発電で電気を作るエネルギー>生活で消費する一次エネルギー
ということです。
ちなみに一次エネルギーとは電気のことではなく、石油・石炭・原子力・天然ガス・水力・地熱・太陽熱などを指します。(電気は二次エネルギー)
だから「電気代がタダになって、さらに売電できる」わけではありません。
「ZEHか~ 省エネでよさそうだな!」なんて思うかもしれませんが、実際のところ今の建築の技術でいえば、それ以上の性能を出すことができる住宅は案外簡単に建てることが出来るのです。
むしろ、ZEHレベルの建物だと寒く感じるまであります。
特に、高気密高断熱のマンションからZEHレベルの一戸建てに引っ越すと
「ここ、ZEH住宅なはずなのに寒くない??」なんてことも。
それもそのはず、ZEHは、現在の断熱性能でいえば「そこそこ」の性能でしかないのです。
具体的に言えば、2023年時点だと断熱等級7が最高レベル、それに対してZEH水準は断熱等級5しかありません。
断熱等級とZEH水準とは
断熱等級とは、「住宅の品質確保の促進などに関する法律」で明示されているもので2022年4月にZEH水準の等級5が、10月に等級6と7が設定されました。
それ以前の1999年に設定された次世代省エネ基準である等級4はそれまで最高水準でしたが、世界的にみると非常に低レベルな断熱性しかありません。
話が反れましたが、ZEH水準の断熱等級5は、2022年に新しく設定された新断熱等級の中で最下位なのです。
ちなみにハーフ住宅はすべてのモデルで断熱等級6を満たしています。大型パネルを使って建てられるため、パネル工場で充填断熱、付加断熱をあらかじめ取り付けられるため、後から取り付ける人件費も、職人技術の依存もありません。
ハーフ住宅が低価格でありながら高性能である秘密の一つです。
もちろん、寒い地域と暖かい地域があるのでZEHの性能で問題ない地域もあります。
省エネ基準の地域基準とは
省エネ基準の地域区分というものがあり、
1北海道 → 8沖縄 と数字が小さくなるほど寒い地域です。
地域区分によって、等級に必要な性能が変わります。関東は5と6が多いですが、場所によって違います。
例えば、同じ東京でも海が近い6のエリアと山の中の4のエリアでは全然気温が違います。暖かいエリアでは断熱等級5でも問題ないですが、寒いエリアではもう1ランク上の断熱性能でないと寒い家になるかもしれません。
これが、今記事のテーマである「ZEH住宅なのに寒い!?」の理由。ZEH水準では断熱等級5しかないので当たり前です
冒頭に書かせていただいた通り、今の建築技術であればZEH以上の断熱性能を出すことは難しくありません。
しかしながら、今のハウスメーカーはZEH住宅を強くアピールしています。これはなぜでしょうか?
キャッチーなPR力とコスト
答えは、PR力とコストです。
PR力はそのままです。
皆さんが持たれるイメージそのまま「ZEHって聞くとなんだかよさそうな気がする」というイメージ力があります。
ハウスメーカーもZEHとアピールしたほうがキャッチーで伝わりやすいと考えているのでしょう。パンフレットなどもZEHを前面に推したものを大量に作ってしまった後で、そこからそれ以上の性能の物に書き換えて再度パンフレットを作り直すとなると、PR力にZEHというキャッチーな感じがなくなりますし、作成コストもかかってきます。
もう一つは、住宅にかかるコストですね。当たり前のことですが、断熱性能を上げると住宅自体の価格が高くなります。既存で売りやすい仕様の物を使うのとは違い、追加で断熱性能の高い素材を使うことになります。
「ZEH」の高性能なイメージに騙されて、寒い住宅を建てるなんてことが無いように気を付けていただきたいところです。
ZEHにもいろいろある
余談ではありますが、「ZEH」にもいろいろな種類があります。
言葉の本来の意味でのZEHと、断熱等級のZEH基準、国がお墨付きを与えるZEH、ニアリーZEH、ZEHオリエンテッド……
ハウスメーカーはこのあたりをゴチャっとさせてPRしているので余計にわかりづらくなっています。
ちなみに、ハーフ住宅では「断熱等級のZEH」以上の断熱性能があります。
暮らしとともにしつらえていく楽しみ「ハーフ住宅」とは
ハーフ住宅は、高品質の骨格と外装、水道、電気、ガスと、法律的には住宅として最低限「暮らせる」状態でお施主さんに引き渡す住宅です。
世界の住宅の標準ともいえるスケルトンインフィル。
柱などの木が見えるむき出しの状態から、みずから中を自分好みにしつらえていく。
つまり、家を自由にデコレーションしていくことができる住宅です。
コンクリートの打ちっぱなし住宅の木バージョンともいえる「木の打ちっぱなし住宅」ともいえます。
High quality 高気密・高断熱・高耐震の高い品質
More than reasonable 価格を低く抑えられる
Do it yourself 自分色に仕上げられる
人気の一級建築士が設計した、これら3つのコンセプトを持った複数のプランの中からお選びいただけます。
コストを抑えながら高性能住宅が手に入る反面、お施主さんにも「しつらえる覚悟」を持ってもらう必要があります。なので「内装まで全て出来上がった状態の住宅が欲しい」「できるだけ自分で手を加えたくない」という方には正直オススメできません。
逆に、「自分好みに自由に作ってみたい!」「ちょっとぐらい不格好でも逆に私らしさが出ていいかも!」
「高気密・高断熱・高耐震で建てたい!でも、できるだけコストを抑えたい!」
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