住工房スタイルが考える「快適な暮らし」ができる家づくりのプランニングとは
「快適な暮らし」とは?
性能とプラン
快適、と一口に言ってもその定義は難解です。
人それぞれに価値観・考え方・好みは異なりますし、人の数だけ、何を持って快適と感じるか、も異なります。
しかしながら、住宅の設計・デザインにおいては本来は、人それぞれに異なる「快適」にも共通項・原則とも言える「大切な基本」があります。
本コラム記事では、住工房スタイルが考える「大切な基本」についてお話します。
住宅を構成する要素を一番簡単に、単純に分解すると住宅という建築物=ハコ、の性能(ハード) と 間取り・プラン(デザイン)の2つに分けられます。
一生住まう住宅ですから、住宅の性能はとても重要です(断熱性・耐震性・耐久性など)。
しかしながら性能さえ良ければ快適と言えるでしょうか?
人間の五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)のうち、視覚から得られる情報量は約87%と言われれています。
すなわち視覚(目に見えるもの)のデザイン、目で見てどう感じるか、が(当たり前なのですが)とても大切なのです。
どんな間取り・プランをつくるか。どうデザインするか。
は、家というハードの性能と同じく、快適に暮らすための、とても重要な要素です。
プラン・間取り作りを間違えると、どんなに性能が良くても、快適に暮らせない住宅になります。
明るく・広く・寛げる(くつろげる)
住宅のプランをつくる際、お客様の要望の中でほぼ共通することは
広々と、明るく、暮らしたい ということです。
明るく暮らすためには、自然光を取り込むために、窓・開口部を大きくもうける必要がありますし、広く暮らすためには、面積はとにかく大きくつくるのが一番です。
しかしながら、実際には予算の制約がありますから、ほぼ全てのお客様が希望どうりの大きさ・面積では作れません。
また構造面での制約がありますから、例えば南側を全て窓にする、というようなことも不可能です。
現実的な予算の制約、構造面での制約の中で、どれだけ快適なプラン作りができるのか、が私たちの大きなテーマです。また住宅は、ご家族が一生を過ごされる空間ですから、とにかく、いかに「寛げる」のか がとても大切です。
「寛げる」や「寛ぎ」も、感覚的な、人それぞれに捉え方の異なる言葉ですが、そこには明確な理由・根拠があります。
「明るく・広く・寛げる」そんな普遍的な要望を叶えるプランニングの大切な基本を解説します。
「明るく・広く」暮らすために
日本の分譲地の家はおかしい?
広々と、明るく、暮らしたい は、ほぼ全ての人の共通項です。
ハウスメーカー・パワービルダー・工務店、業態問わず、住宅建築に関わる会社はお客様からそのことを要望され、皆そのことを懸命に追求しているはず。
しかしながら、実際には多くの家が、広々と、明るく、暮らしたい を実現できていません。
それはなぜなのでしょうか。
美しく造成された分譲地に、立派な家が立ち並んでいます。
どのメーカーさんの建物もそれぞれに素晴らしいと思います(どこかの会社を中傷する意図ではありません)。
日本全国どこにでも、よく目にする光景です。
しかしながら、何かお気づきになりませんか?
開くために閉じる
上の写真では、明るく広く暮らすために、南側にどの家も、大きい掃き出し窓を設けています。
ですが、どの家もカーテンやシャッターを閉めっぱなしです。
平日の日中だからでしょうか。休日の家族の団らん時には開けるのでしょうか。
答えは NO です。
どんなに窓を大きく、たくさん南側に設けても、道路から見て家の中が丸見えになり、外から視線が気になって、日当たりが良かろうが、窓をたくさん儲けようが、開くことはできません。(特に1階のリビングやダイニング)
明るく暮らすためには、設けた窓を開いて暮らせるように設計しなければなりません。
そして、窓を開けるためには、外部からの視線を何かしらで、遮る・閉じることが必要です。(閉じっぱなしでは、壁と一緒。レースカーテンでも明るさは半減。閉じてしまえば、室内空間だけですから、開放感もありません。)
つまり、開くために閉じる。
開くこと と 閉じること をセットで考えることが、快適プランニングの大切な基本です。
敷地の活かし方を徹底的に考える
開くこと と 閉じること をセットで考えることが、快適プランニングの大切な基本。
どこに向かって開き、どこをどう閉じるか、は まさに敷地次第です。同じような地形、同じような面積の敷地でも、周辺環境まで含めて、一つとして同じ条件の敷地は存在しません。
よくある企画型の住宅プランには、標準化され、良く出来たものも多いですが、本来、世界にたった一つしかない敷地そのものに合わせて設計しなければ、快適なプランにはなりえません。
敷地の状態や特性。周辺環境。
どこに向かって開けば気持ちよく、また開くためにはどこをどう閉じる必要があるのか。
そして建物・庭・カーポート・玄関へのアプローチの組み合わせがどんな可能性があるのか。
これを、いわゆる敷地調査の段階で、じっくり検討することが大切です。
住工房スタイルでは、この敷地利用方法を検討を「ランドデザイン」とよんでいます。
ウチとソトのつながりをつくる
どこに向かって開けば気持ちよく、また開くためにはどこをどう閉じる必要があるのか。
そして建物・庭・カーポート・玄関へのアプローチの組み合わせがどんな可能性があるのか。
敷地利用方法の検討「ランドデザイン」の際に、考えたいのはウチとソトのつながりです。
上の写真のように植栽された、綺麗な緑のあるお庭も、開けずウチとソトが断絶していれば、せっかくの庭が台無しです。目で見て楽しむことも、広がりを感じることもできません。
それに対して、下の写真がウチとソトのつながりがあるとある住宅の例です。
ソトは狭いですが、閉じることで、窓も開けられウチとソトがつながり、開放的に暮らせます。
芝生の緑や、たった一本の植栽でも住空間に取り込んでいます。
おおよその住宅地は、都心でない限り、建蔽率50%以下。予算が潤沢にあっても、建物を建てられるのは、敷地の50%まで。
残りは、カーポート・アプローチ・お庭等になります。
50%超もある敷地の余白(ソト)を、建物(ウチ)と断絶させるのか、つながりをつくれるのか、で快適さは大きく変わります。
ウチとソトのつながりをつくること。これが快適プランニングの大切な基本です。
寛げる空間をつくる
オープンプランの利点と弊害
現在の住宅プランの主流は、オープンプラン(オープンで、間仕切りの少ないプラン)です。
住宅設計の大家、吉田桂二先生の言葉では「広がり間取り」と言います。
家の中の廊下は最小限に抑え、玄関ホールから直節リビング空間に入り、一体の LDK に和室を隣接させ、水周りにもつながり、階段も廊下からではなく、いわゆるリビング階段と言われるプラン・間取りが平均的です。
オープンプランのメリット
オープンプランの利点は、生活空間が一体なので、開放的に広々と暮らせることです。
どこにいても家族の気配を感じることができます。また無駄な廊下を極力とらないので、建築面積も抑えること=建築予算を抑えられることもメリットです。
断熱性能の高い工法で建てれば、大きい空間でも電気代・ランニングコストも抑えながら、快適に暮らせます。
オープンプランのデメリット
オープンプラン=間仕切り壁の少ない開放的な空間の弊害は、全ての空間がほぼ一体なので、なんとなく落ち着かない、寛げない空間になりやすいことです。
特に影響を受けるのが家の中心であるリビング。もっとも家族で団欒し、そして寛ぎたいリビングが、四方ぐるりと導線だらけで、渋谷のスクランブル交差点のように、落ち着く・寛ぐ、とはかけ離れたプランになりやすいことです。
言葉だけだとイメージがわかないかと思います。
実際のプラン事例をいろいろと見ながら導線(人の通り道、他の空間とつながり方)を検討してみましょう。
落ち着く・寛げる空間にするために必要なもの、それは「たまり」です。
たまりって・・・?
たまり、って?
渋谷のスクランブル交差点は、寛ぐ・落ち着くとはかけ離れたシチュエーションです。
人の習性とは面白いもので、突然、何もない大きな部屋に一人で放り込まれると、必ず壁際に寄っていくそうです。
それも隅の方に・・。
間仕切り壁の少ない開放的な室内空間も、拠り所となる場所がないと、なんとなく落ち着かない空間になります。
寛ぐためには、読んで字のごとく「たまれること」が必要です。
住まいは広々としているだけではダメなのです。
「たまり」には、様々なパターンがあります。導線を整理し、きっかけとなる「拠り所」を設けるが大切です。住宅プランの場合、拠り所は必ずしも壁とは限りません。柱一本やちょっとした段差でも拠り所のきっかけとなります。
たまりのあるリビング
たまりのないリビング
導線を整理し、拠り所を考え、たまりをつくること。これも快適プランニングの基本です。
導線を整理し、拠り所を考える。
導線を整理し、拠り所を考え、たまりをつくることが、快適プランニングの基本。
導線の整理の仕方。拠り所の作り方。その結果生まれる、寛げる・落ち着ける「たまり」。
正解は一つではありません。様々なパターンを検討しましょう。
ヨリドコロを考える
気持ちいい空間には嫌な導線がない
家具の話(特にソファ)
導線を整理し、拠り所を考え、たまりをつくることが、快適プランニングの基本。
それらを検討する中で、家具も合わせて考えプランすることが大切です。
特にソファ。どんなソファでどう寛ぐのか。
新婚のご夫婦が賃貸住宅に暮らしている時には、2P の 2 人がギリギリ座れるソファでも良いですが、家族が団欒するリビングには・・・。
悩しいのは予算の配分。新築時にソファを新調できない場合もあるかと思いますが、将来的、先々のことでも結構です。家族4人で団欒するとき。来客時や親御さんが遊びに来られた時・・・。
(高いブランド物でなくても、例えば IKEA やニトリ。通販のニッセンなどでも良いソファはたくさんあります)
どんなソファでどう寛ぐのか。
TV も大型化していますし、買いたいソファ、将来設置したいソファを踏まえたプランニングにしましょう。
美しい・キレイ・かっこいい
見た目が大事
人間の五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)のうち、視覚から得られる情報量は約87%と言われれています。
つまり「快適」と感じるためには、目で見て「美しい」や「キレイ」や「かっこいい」と素直に感じること = 見た目がものすごく大事、ということです。
人それぞれの嗜好性・好み・感性によらず、美しい・キレイ・かっこいいと感じられるデザインの基本要素をご紹介します。
黄金比・白銀比(プロポーション)
黄金比(golden ratio)とは、1:1.618(約 5:8)となる比のことです。
紀元前古代ギリシャで発見されて以来、人間が最も美しいと感じる比率とされています。
黄金比が使われている有名なものは、ミロのビーナス、モナ・リザ、凱旋門、サグラダ・ファミリア、名刺、Apple のロゴなど。
白銀比(silver ratio)とは、1 : 1.414(約 1:√2)となる比のことです。日本の木造建築に古くから使われている比率です。白銀比が使われている有名なものは、法隆寺、仏像、A4 用紙、
キティちゃん、ドラえもんなど。
難しく考えすぎる必要はありませんが、よりキレイに見えるプロポーションを考えながら、プラン・外観フォルム・内部空間を検討しましょう。
要素を減らす・面を意識する(基本はシンプルに)
↓↓↓↓↓要素を減らす↓↓↓↓↓
要素が多い=煩雑・にぎやか。要素が少ない=上品・上質・高級感。これもデザインの原則の一つです。
極端に生活感のないミニマルな空間から、モノに溢れたお店のような空間まで、好みは人それぞれですが、一生住まう住宅ですから「基本はシンプル」が良いように思います。そ
の上で自分らしい個性を味付けしたいものです。
住空間は、床・天井・壁が4面で、合計6つの面で構成されます。
その6つの面の中で、まとまったキレイな面・プロポーションの良い面があれば、空間の質が向上します。
壁や天井がどう見えるのかを意識しながらプランを検討しましょう。
デザインの4原則
デザインをする上での基本原則は 4 つあると言われています。
簡単に説明をすると、
近接 Proximity ・・・関連するものをまとめること。
整列 Alignment ・・・全体の配置を整理すること。
反復 Repetition ・・・繰り返すこと。
コントラスト Contrast ・・・メリハリ。味付け。
当たり前といえばそうなのですが、よくよく良いデザインだなあと思うものをみてみると、この 4 つがきちんと守られています。
嗜好性や好みを住まいに
Instagram 等の SNS。Pinterest や Houzz など WEB 上でも世界中のインテリア情報がリアルタイムで得られる現在、個人の趣味・嗜好性やファッション感覚・SHOP 感覚を住空間にインテリアとして反映することが当たり前になりました。
自分達の好みに合わせて作ることこそが注文住宅ならではの醍醐味です。
永く飽きのこないシンプル空間もよし。
憧れのおしゃれで今っぽい SHOP 感覚もよし。
落ち着いた大人の和の空間。
リゾートホテルの癒しの空間も。
こんなもんだ、ではなく、嗜好性や好みを住まいに反映することが、あなた自身にとっての快適な住空間につながります。
Sutardays SURF NYC(代官山)
ハレクラニホテル(Hawai)
星のや TOKYO
※「やり過ぎ」「若気の至り」には要注意。
一生住まう空間ですから、自分たちが年配になった時にどう?も考えながら・・・
オーダーメイドならではの、理想的な住まい作りのプロセス
大切なのは住まいづくりの企画(コンセプトの設定と共有)です。
住工房スタイルの家づくりは「コンセプトメイキング」からスタートします。
暮らしとともにしつらえていく楽しみ「ハーフ住宅」とは
ハーフ住宅は、高品質の骨格と外装、水道、電気、ガスと、法律的には住宅として最低限「暮らせる」状態でお施主さんに引き渡す住宅です。 世界の住宅の標準ともいえるスケルトンインフィル。
柱などの木が見えるむき出しの状態から、みずから中を自分好みにしつらえていく。
つまり、家を自由にデコレーションしていくことができる住宅です。
コンクリートの打ちっぱなし住宅の木バージョンともいえる「木の打ちっぱなし住宅」ともいえます。
High quality 高気密・高断熱・高耐震の高い品質
More than reasonable 価格を低く抑えられる
Do it yourself 自分色に仕上げられる
人気の一級建築士が設計した、これら3つのコンセプトを持った複数のプランの中からお選びいただけます。
コストを抑えながら高性能住宅が手に入る反面、お施主さんにも「しつらえる覚悟」を持ってもらう必要があります。
なので「内装まで全て出来上がった状態の住宅が欲しい」「できるだけ自分で手を加えたくない」という方には正直オススメできません。
逆に、「自分好みに自由に作ってみたい!」「ちょっとぐらい不格好でも逆に私らしさが出ていいかも!」 「高気密・高断熱・高耐震で建てたい!でも、できるだけコストを抑えたい!」
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